2011年04月14日
災害による損失を受けた場合の所得控除及び減税について part.2
前回は
雑損控除についてお話いたしましたが、今回は『災害減免法による所得税の軽減免除』について説明していきます。
〜災害減免法による所得税の軽減免除〜
災害によって受けた住宅や家財の損害金額(保険金などにより補てんされる金額を除きます。)が
その時価の2分の1以上で、かつ、災害にあった年の所得金額の合計額が
1000万円以下のときにおいて、その災害による損失額について雑損控除を受けない場合は、災害減免法によりその年の所得税が次のように軽減されるか又は免除されます。
所得金額の合計額 軽減又は免除される所得税の額
500万円以下 所得税の額の全額
500万円超750万円以下 所得税の額の2分の1
750万円超1000万円以下 所得税の額の4分の1(災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に関する法律第2条)
http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1902.htm 上記の所得金額の合計額は次の計算式となります。
総所得金額
− (純損失)
− (居住用財産の買換え等の場合の譲渡)
− (特定居住用財産の譲渡損失)
− (雑損失の繰越控除)
+ 土地等に係る事業所得等の金額
+ 分離短期譲渡所得の金額
+ 分離長期譲渡所得の金額
+ 株式等に係る譲渡所得等の金額
− (上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除)
− (特定株式に係る譲渡損失の繰越の控除の特例)
+ 先物取引に係る雑所得等の金額
− (先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除)
+ 山林所得金額
+ 退職所得金額
この制度の適用を受けようとする場合には、確定申告書に@その旨、A被害の状況、B、損害金額を記載して、これを納税地の所轄税務署長に確定申告書の提出期限までに提出しなければなりません。
また、この制度は
雑損控除と選択適用となっているので、『
雑損控除』と『災害減免法による所得税の軽減免除』のどちらか1つしか適用できません。
※ 1つの災害で、事業用固定資産と住宅・家財が時価の2分の1以上損害を受けた場合、事業用固定資産に雑損控除を用いた場合、住宅・家財に対する災害減免法を用いることは出来ません。逆もまた同じです。
※ 1年の間に複数の災害があった場合、ある1つの災害で雑損控除を適用していても、それとは別の災害で住宅・家財が時価の2分の1以上損害を受けた場合は、前者の災害に雑損控除、後者の災害に災害減免法を適用できます。
この制度の用語のさらに細かい話をします。
この規定における災害とは・・・
震災、風水害等の天災の外、火災等の人為的災害で自己の意思によらないものをも含むものとする。したがって、失火を含むが自己の放火を含まないものとすること。
この規定における住宅とは・・・
自己又は扶養親族が常時起居する家屋をいうものとし、次のように取り扱うこと。
(1) 常時起居する家屋である以上は、必ずしも生活の本拠であることを必要としない。したがって、たとえば、2箇所以上の家屋に自己又は扶養親族が常時起居しているときは、そのいずれをも住宅とすること。
(2) 現に起居している家屋であっても、常時起居しない別荘のようなものは、住宅としないこと。
(3) 常時起居している家屋に附属する倉庫、物置等の附属建物は、住宅に含めること。
この規定における家財とは・・・
その者(その者の扶養親族を含む。)の日常生活に通常必要な家具、什器、衣服、書籍その他の家庭用動産をいうものとし、書画、骨とう、娯楽品等で生活に必要な程度をこえるものは含まれないものとすること。
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kobetsu/shotoku/shinkoku/520725/01.htm関連情報
H23.4.21 寄付金控除、雑損控除、災害減免法による所得税の軽減免除について 追加更新情報一覧